膝の治療 具体例

渡辺克敬(わたなべ かつゆき)

2015年01月18日 23:49

 高齢者の膝の痛みは多くが加齢変化による軟骨の損傷と筋力低下です。ほとんどの場合、整形外科で治療を受けています。そして、病院で言われることは 「体重を落とす事」 「運動をして膝周囲の筋肉を強化すること」 です。真面目にその指導に取り組めば、かなり症状は改善するのですが、ほとんどの場合、そうはしません。多くの患者さんは、痛みの原因についての認識が明らかではないようです。膝関節の形に自然治癒しようのない変形が起こっている、という認識がないようです。変形については、どうしようもないのですが、筋肉強化については、年齢にかかわりなく本人主導でどうにでもなる、という事の理解も少ないようです。
整理しますと、 1.痛みの主たる原因は膝の変形  2.膝の変形は治らない  3.膝周囲の筋肉を強化することで痛みは軽減・改善する  3.筋力強化は自分がやるしかない  4.筋力強化は、結果が出るまでに週3回以上の訓練で3カ月ほどの期間がかかる 
という理解がまず必要です。変形の程度が軽く。筋力もしっかりしている方なら、整形外科や整骨院・鍼灸治療院での治療だけでよくなる事もあります。しかし、基本的には膝の痛みの治療には、「本人の筋力強化」という側面が欠かせません。
 それでは、うちのような治療院では何をするかというと、まず、鍼やマッサージ・整体などで、膝の炎症を抑えて痛みを軽減します。そして、症状に応じてテーピングをして普段の歩行が楽になるようにします。そのようにして、痛みがなく歩行できる条件を整えながら、筋力強化を指導して経過を追っていきます。1日10分ほどであっても、きちっと筋力訓練をすれば、1カ月ほどで少し変化が現れ、3カ月ほどで改善がみられるものです。何より大事なのは、患者さんの根気と。治療する側の患者さんをうまく指導していく根気ということです。

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