二の腕はここ、一の腕はどこ?
患者さんが 「足が痛い」というので、足関節から先の方を診ようとすると、それが、ふくらはぎの痛みであったり、腿の痛みであったりすることがあります。「足」も「脚」も音で聞く分には「あし」です。身体の部位の表現は、日常生活ではそれほど厳密さを要求されません。面と向かって話している時なら、「ここ」と指差せば済むからです。そうは言っても、やはり自分の頭の中で、しっかりと身体の各部位の関係と名称位は分かっていた方が便利です。例えば、「足の外くるぶしの10センチ上のあたり」というのは「下腿外側、中下3分の1」とか「外果上方10センチ」ということになります。電話で話したり、文書にしたりする時には、こうすると間違いはありません。スポーツをする人は、「上腕二頭筋」や「大腿四頭筋」などの主な筋肉の名称は知っている方が多いものです。四肢の目立った筋肉の名称を覚えておくのも、なにかと便利です。
「二の腕」といえば、肩から肘までのことを指します。これは一般に使われている言葉ですから、ご存知かと思います。解剖学的に言えば「上腕」です。肘から先は「前腕」です。では、「一の腕」というのはどこでしょう? 常識的に考えると「前腕」と考える方が多いと思います。ところが、「一の腕」は「肩から肘までの間」の事です。二の腕と同じ場所です。??? 元々は、一の腕が上腕の事でした。二の腕は前腕の事でした。それが、いつの頃からか誤用が定着して、さらに二の腕だけが一般によく使われるようになったという事です。
「ヤバイ」という言葉の意味が若い人たちの間で変わってきていますが、言葉は生き物のように変化をして行く事もありますね。長生きはしてみるものです。
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