2014年12月18日

ヘルニアの話

ヘルニアの話


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 人の背骨は「だるま落とし」のようになっています。だるまが頭蓋骨で、その下にある扁平な円柱が椎骨(頸椎や腰椎など)です。そして、椎骨の間には椎間板という組織があります。
椎間板は中心に髄核というゼリー状の物があり、周囲を線維輪という線維軟骨が玉ねぎの皮のように囲んでいます。
線維輪は年齢とともに劣化して(二十歳を過ぎると始まる)断裂する事があります。そして、その断裂部から髄核が出てくることがあります。これを椎間板ヘルニアと言います。腰であれば、腰椎椎間板ヘルニアです。ヘルニアというのは「何かが出てくる」と言うほどの意味です。脳挫傷で脳圧が高くなって起こる「脳ヘルニア」というものもあります。

 椎間板ヘルニアでは、出てきた髄核が脊髄や脊髄から出ている細い神経(神経根)を圧迫する事で様々な症状を起こします。坐骨神経痛の原因になる事もあります。
 かつては、脱出したヘルニアは手術的に摘出する以外には除去不能と言われていました。しかし、MRIの普及により、時系列的に検査をしてみると、脱出したヘルニア塊が自然退縮する事もあると分かってきました。その結果、保存的治療(手術をしない治療)の重要性が再認識されるようになりました。だだ、症状に関して、神経麻痺が短期間で進行する場合や、膀胱・直腸障害(排尿排便の異常)がある例では手術の適応になりますので、治療方法の選択と症状に関しては、担当医師と十分ご相談ください。

 上肢・下肢の痺れや痛み、頸・腰の痛みが症状の中心である場合は、鍼治療で症状軽減する事が期待できます。鍼治療の意義としては、圧迫された神経の炎症を早く改善させることと、痛みを軽減させる事です。ヘルニアの程度や神経圧迫の状況にもよりますが、数回の治療で痛みの軽減がみられる場合もあります。
 ヘルニアが疑われる場合は、自分の身体の状態を正確に把握するためにも、整形外科でMRI検査をした方が良いでしょう。腰痛があり、大腿後面やふくらはぎ、脛の外側などに痛み痺れが走っているようなら、ヘルニアによる症状である可能性が高いので、無理せずに医療機関に行くべきです。急性期に無理をすると、結局、治療に時間がかかり、仕事を休む期間が長くなります。
以前、ヘルニアの患者さんで、鍼をして痛みがかなり楽になった方がいました。「痛みを鍼で軽くしただけで、原因のヘルニアはすぐには改善しないので、無理はしないように」と説明をしたのですが、営業の仕事の方で、すぐに仕事で無理をしてしまいました。その結果、入院をする事になり、結局治療期間が長引いてしましました。鍼で痛みを取って生活を楽にしても、人の身体がある程度回復するには時間がかかる~そういった事を十分に理解していただけなかった力不足を感じた次第です。
こうした時代ですから、自分の身体は自分で管理する心構えが必要です。その為にも、ご近所や会社の近くに、行きやすい整形外科や鍼灸院・整骨院などを見つけて日ごろから気軽に相談できるようにしておくことが大切です。


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Posted by 渡辺克敬(わたなべ かつゆき) at 23:45│Comments(0)医療・健康
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